暑い夏からしばらく経ってしまいましたが、遅ればせながら、夏のゼミ旅行の報告をさせていただきます。
去年は台北に行きましたが、今年はちょっと足を伸ばして、シンガポールまで行ってきました。
学生達で多数決をとったところ、最後の二カ所で迷いまして、最終的にはシンガポールで決定です。コースルートや日程も学生に任せました。
できた旅のしおりは:
こんなかわいらしい表紙のものです。
さぞかし楽しいたびになると思いきや、
「観光旅行じゃないからね! 『ゼミ旅行』だよ、学びの旅だからね!」
と強調しておいたわけで、その結果として、
4泊5日で19箇所もの建築を見に行くという、
弾丸ツアーになってしまいました。
うん、これは見応えのある旅になるぞ〜と思っていたのは出発前まででした。
羽田に集まって搭乗を待っている間でも、田島研の周辺はなぜか異様な盛り上り具合です。
なんだかテンションが高く、たわいもないことで笑いが止まらない。
引率者としては、こんな状態で旅は大丈夫かと不安になったものです(汗)
しかし、シンガポールに着いてみれば、そんな不安も吹っ飛びました。
まずは1976年に竣工した、シンガポール発の高層アパートである、パールバンク・アパートメント。
実に見応えのある建物です。メゾネット型かつ円形のプランニングであり、残念ながら中には入れませんでしたが、その先進性に目を見張ります。
その後は歩いて歩いて、旧市街地を横切りながら、かつてのショップハウスがきれいにリノベーションして使われている様子を横目に、ひたすら歩きます。
レッドドット・ミュージアムについたところで、一息休憩。
本当に赤い建物です。でも、この建物、中に入ると良い具合にクリエイティブなオフィスやカフェがあり、素敵な雰囲気を醸し出しています。
そこからさらにひたすら歩きます。
オフィス街までたどり着きました。
ここで一息いれて、記念撮影。
緑溢れるパークロイヤル・ピッカリングという建物を背景に、南国らしい雰囲気で撮影です。
すでに疲れが見えている数名(私も含めて)以外は、みんな元気です。
そこからさらに歩いて、マリーナ・ベイ・サンズにたどり着きます。
マリーナ・ベイ・サンズは、実は巨大なショッピングセンターで、内部はベニスのように、運河が巡らされています。
ここで、すでに私は息切れ気味ですが、学生達は、ほら、元気です。
半分以上が始めての海外旅行ですから、ウキウキが止まらないようです。
(賢吾は疲れ気味に見えるが・・・・、笑)
そしてついに、あのマリーナ・ベイ・サンズを目の当たりにします。
あまりに象徴的な観光イメージになってしまっているのもあり、屋上の空中プールが有名だったのもあり、じつはあまり期待してなかったのですが、目の当たりにすると、かなりのインパクトがあります。
本当に宇宙船が停泊中のような、そんなイメージ。3つのビルも微妙に傾いていて、バランスが崩れそうで保っているような、そんな宙ぶらりん感に溢れています。
でも、外観の見かけ倒しだよなーと思いながら、建物の足下に入ってみると・・・
その湾曲した建物に囲まれた下に、実にダイナミックな断面空間が展開しているではないか・・・!
かなりの驚きです。70年代の建築の断面図を立体化したような、そんな「都市的な建築」だったのです。
お恥ずかしながら、建築家のモシェ・サフディさんの作品をまったく存じ上げていなかったのですが、御見逸れいたしました。完敗です。勉強不足でした。
そして、マリーナ・ベイ・サンズに感動しつつ、日も暮れていくころには、この建物をくぐり抜けた背後には、広大な庭園が広がっています。
Gardens By The Bay。写真で見ている印象は、なんだか絵画のような、CGのような中途半端な印象しかなかったのですが、マリーナ・ベイ・サンズの背後に現れたのは・・・
なんだこれは?
現実のはずなのに、これは現実なのか、我が目を疑います。
実は、巨大な絵画か、CGか、あるいはSF映画なのか、、、、なんだか不思議な「非」現実感に包まれます。
なんだか、映画の「アバター」の世界に入り込んでしまったようです。
そして振り向いて見上げると、マリーナ・ベイ・サンズが・・・・
ウルトラマンに登場する宇宙船がいま飛び立つ寸前のような、、、なんだか現実感がありません。
そんなフワフワした幻想的な雰囲気の中、ガーデンのなかへと入って行きます。
音と映像がシンクロしたインスタレーションの時間となり、まったく見たことがないような不思議な世界。
初日からシンガポールに「ガツン」とやられた感じです。
そして最後はみんなでディナー。ホーカーズと呼ばれるフードコートがシンガポールはいたるところにありますが、そこでみんなで乾杯です。
さてさて、2日目は最初に、シンガポールの有名建築家で友人でもある、Mok Wei WeiさんのWアーキテクトを訪問です。
最初にシンガポール建築の説明を詳しく「英語」でしていただき、そして英語で質疑応答です。
僕が通訳をするのではと期待していた学生も何人かいましたが、世の中そんなに甘くはありません。頑張って自分で聞いて喋る努力をせねば、、、。
すこしだけ助け舟を出しましたが、シンガポール建築家の様子もわかってグッと親近感が。
そして親切なことに、Mok Wei Weiさんの最新作、National Victoria Theatreを直々にご案内していただきました。
できたてほやほやの建物を詳しく説明してくれます。新品に見えるシアター内部ですが、実は、解体された旧シアターの椅子部分をパーツとして使って壁面を構成しています。
また、エントランスホール部分も、古くからの保存部分と、新しく作った部分を、プロポーションを同じにしながらも、作り方を全く変えて、わざと新旧の対比を狙ったあたりなど、設計の工夫が多岐にわたっていることを学生も身をもって実感します。
最後はみんなで記念撮影をして、ここでMok Wei Weiさんとはお別れです。
Thank you so much Mr. Mok Wei Wei, we all really appreciate your kindness! Thanks a lot.
さて、ここからがシンガポールの旅が本格化します。
リベスキンドの建物やレム・コールハースの建物。
様々な建築家が設計した建物がありますが、それらは一カ所にあるわけではなく、散らばっています。
てっきり、公共交通機関を乗り継いで向かうのかと思いきや、そんな甘い気持ちは学生にはありませんでした。
とにかく、歩きます。
建物から建物まで、
とにかく歩きます。
海沿いやら、ジャングルの中やらくぐり抜け、ひたすら歩き続け・・・、
一時間歩いても、まだ着きません。
でも、学生達はへこたれません。元気です。
足の筋肉痛が限界に達し、腰の筋肉がついに音をあげ、普通に歩くこともままならなくなってきました、、。
結局、僕は途中でリタイヤし、
カフェで小一時間ばかり休憩して、すこし元気を取り戻し、それから、バスを乗り継いで、追いかけることにしました。
そしてやっと学生に追いついたのが、このサザン・リッジスの橋です。
このうねる橋、想像以上に怖いです。
鉄骨の上に木のデッキ材を打ち付けてあるだけで、デッキ材が腐って抜けたら、落ちてしまいます。
まだデッキ材は大丈夫なようですが、隙間の下に何もないのが透けて見えます。
とにかく怖い・・・。
でも学生達は気にしません。元気です。
私は手摺にしがみついてビビってました。。。(秘密)
最後の夜は、近くの中華で乾杯です。
少しは疲れの見える学生ですが、基本的には元気です。
そして最終日は午前だけ一緒に行動してシンガポールの建築家が手がけた図書館に行きました。
というわけで、その後はしばらく、それぞれお土産を買いに行ったり、自由行動にして、午後には空港に向かいました。
その間、歩き続けて体力を使い果たした私だけは、もうどこにも行けず、ひたすら休みます。
まずはシンガポール大学で教鞭を取っていらっしゃる坂元伝さんに素敵なカフェでしばらくシンガポールの建築事情をお聞きしました。
そして、その後は、ラッフルズホテルでコロニアルな雰囲気のなか、束の間の観光気分を味わいます。
冷えた白ワインを頂きながら、優雅な気分に浸ります。
しかし、足は筋肉痛で言うことをききません。。。。(汗)
でも、学生達はまだ建築を見に行っていたようです。。。最後まで元気でした。。。(笑)
まさに建築漬けな日々は、きっと、筋肉痛と共に大切な思い出になるでしょう。。。